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「都民美術」第119-120合併号に寄稿しました

「絵を描くこと」

2020年2月、9回目の個展は新型コロナウイルスのパンデミックが心配される中、無事終わった。その時は、コロナ禍がこれほど長引くとは全く予想していなかった。個展では、1年間で描いた新作の油絵を発表している。展示場所は、ビルの廊下の壁を利用したギャラリーだ。そこにF6からF30までの作品をかける。図書館に行く人や、用事でたまたまやってきた人たちが絵を見て行く。

じっくり絵を鑑賞する人もいれば、目もくれず通り過ぎる人もいる。熱心な人がいれば喜んで絵の説明をする。それが自分の楽しみでもある。風景画は、そこにある風景をキャンバスに出来る限り忠実に再現し、そこの気配も描くよう努めている。

絵を描いてもらいたいと頼まれることもある。善光寺常智院の住職さんもその一人だ。大黒様、善光寺のご本尊を描くよう依頼を受け、長野に取材に出かけた。大黒様はよいとして、ご本尊の方は、数年に一度のご開帳でしか拝顔できない。白黒の写真を見て、想像を膨らませる他ない。風景は、住職の配慮で、好きな場所にイーゼルを立てることができた。「大黒様」F15の方は、なんとなく住職の雰囲気があり、「前立本尊」F20は、明るい色調に仕上がった。

「善光寺仁王門」F30は、公募に出したところ、思いがけず優秀賞をいただき、今年東京都美術館に展示された。 このような時節だが、相変わらず身近で気に入った画題を見つけて、絵を描くことを楽しんでいる。

宮林謙次

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