NEWS and TOPICS

MESSAGE

大胆な構成と奔放な線

 大胆な構成と奔放な線、そしてビビットに目に飛び込んでくるエネルギッシュな色彩。謙次くんの描く人物や静物、風景の絵には、ほかの人には真似できない、彼ならではの独特の息遣いが感じられ、見る人を惹きつける強い個性があります。

 今から17、8年ほど前、大工さんになる為の学校を受験するのにデッサンの試験があるからと、お母さまと自由が丘の教室を訪ねてこられたのが、彼とのそもそもの出会いでした。ご年配の方々が多い教室の中に、若い男の子が入ってきたので、たちまち謙次くんは教室の人気者に。入ってきた時から、たちまち彼の絵の独自性は現れ、皆を驚かせます。彼の絵の屈託のない天真爛漫さは、当に彼の人柄そのものです。まるで子供のように穢れのない無垢な眼で、心の赴くままに描く彼の絵を見て、教室の生徒さん達はこんな風に描けることがとても羨ましく感じているようでした。私たちも本来、子供の頃は持っていた筈だった純粋さは、だんだんと大人になるに連れ、上手に描こうとか、他人から良く見られたいとかいうような邪心が芽生え、謙次くんのようには描けなくなってしまうのです。

 そんな謙次くんの絵も年々進歩し、初めの頃は大胆ながら未だ粗野なところもあったのが、最近は風景の中に登場する人物など、実に細かいところまで丁寧に描き込まれるようになってきました。教室で私は特段何か絵の描き方を教えるということはありません。どちらかといえば、ボクシングのセコンドのような立場に徹し、ちょっと元気がないなと思う時「謙次くん、もっと大きくはみ出すように!」とか「パレットに出す絵具の量が足りないよ、もっとビュビュっといっぱい出さなきゃ!」とハッパをかけることが私の役目だと思っております。絵とは本来こういうものだよと語ってくる謙次くんの絵は、私たちの心を揺さぶり、これから益々進化を遂げてゆくことでしょう。

瀬川智貴

飾らなくていいよ、そのままでいいよ

 私共のお寺は、お寺といっても「宿坊」と言って、半分は旅館業を営んでおります。今から23年前にもなりますが、長野冬期オリンピック開催時には大会を支えるため、たくさんの通訳ボランティアさんの受け入れをさせていただきました。その中に謙次君のお母さんがいらっしゃったのです。そのご縁が謙次君の作品と出会うチャンスを作ってくれました。

 第一回の中目黒GTでの作品展の折に求めました「鯛」の作品は、その時からずっと我が家の リビングルームで、大きな目をしっかりとこちらに向けて「福よ来い、福よ来い」と睨んでくれているように私には思えます。エメラルドグリーンの大皿にのる濃く深いピンク色の堂々とした鯛の姿、背景のテーブルの山吹色、脇に置かれた濃紺の硝子瓶、濃い赤色のテーブルセンターが少し色を差し、まるで古九谷の色合いにも似た謙次ワールドの世界。その作品を始めとして、この謙次君の世界で、当院の御本尊大日如来の脇仏である鼠大黒天像(三十一匹の白鼠さん達がお神輿おみこしに載せた大黒様を担いでいるお姿)を描いて欲しいとお願いして描いていただいたりもしました。

 この度、世界絵画大賞展において「善光寺仁王門」の作品が栄えある優秀賞を受賞したと伺い、心よりお慶び申し上げます。そして、私の望みどうりに、この作品は謙次君とお母さんとによって、10月の終わりに当院に納められました。記念すべき作品をいただくことができ本当に嬉しく思います。謙次君の絵からは正直なエネルギーが伝わってきます。絵対象が何であれ、そのエネルギーは「生きている」ことに対する彼独特のものであり、とても暖かいものに思えます。「飾らなくていいよ、そのままでいいよ」。そんな声が聞こえてくるような、それは謙次君だけが持つ(優しさ)なのでしょう。どうか今後もその世界を皆さんに絵描き表していって下さい。そして、また善光寺へもお出でください。ご活躍を心からお祈りしております

善光寺常智院 宮澤直子

生き生きした動きが好きだ

I have Kenji's postcard of "Zenko-ji Temple" displayed on my refrigerator and will try to remember to take a photo of it. I find the painting bright and bold and dynamic. Personally, I like his use of vibrant colors and the sway of the action displayed. The painting draws a person inside and causes me to feel as if I am there or want to be there to participate in the festivities.

A former local judge in Wisconsin State
William Hupy

私は謙次の「善光寺仁王門」の絵葉書を家の冷蔵庫の扉に飾っている。そして、いつかそこで写真を撮るために記憶にとどめておこうと思っている。その絵から明るさや大胆さ,力強さを感じる。私は個人的に彼の明るい色使いや、生き生きした動きが好きだ。絵は人の内面を描いている。 あたかも自分自身が絵の中にいるかのように、 また、祭り騒ぎに参加したいと感じさせるのだ。

ウィスコンシン州 元判事
ウィリアム ヒュッピイ

次の一枚を拝見するのを楽しみ

 宮林謙次さんは、 音楽、木や花、 人形などあらゆる絵の題材を、 たしかに魅力的に見つめ、それを表現するためのすばらしい目を持った人です。 色合いについてもびっくりする位、多種にわたりそれを表現するための目をもっています。楽器もあたかもすぐ音が出てくるような形で描かれています。細かい人物像から、 大勢の人もそれぞれよく描かれていて、本当に魅力的です。 これからも色々な対象を探して、いつも新しいものとすてきな対象を探して、いつも新しい目で見ることが、絵をかく時の集中力をやしなうことになるでしょう。次の一枚一枚をまた拝見するのを楽しみにしています。

ピアニスト 岩崎 淑

五感の次に来る6番目の知覚

藝大の同期、瀬川智貴君から、彼の教え子である宮林謙次くんが世界絵画大賞展2020で優秀賞を受賞したと聞き、瀬川智貴君と一緒に、東京都美術館に謙次くんの作品を見に赴いた。大賞展の初日、令和2年8月23日のことである。私は瀬川智貴君からの紹介で謙次くんの油絵の作品を数年に渡って観ているが、謙次くんの絵のテイストは私のお気に入りの一つになっている。

私は絵を見る際、その作者の視界や内面などを想像してみる。美しい裸婦像ならこの人を愛したんだな。とか、赤に染まった富士山が美しかったんだな。とか。しかし、謙次くんの絵を見た時、対象をどのように捉えているか想像がおよばない不思議さを覚えるのだ。謙次くんは、対象に対して観念的なモノの見方をしていないのだろう。そして絵の完成へのプロセスなどたぶん全く計算をしていない。目の前にある対象をただ黙々と素直に描く。形が違えば直すし、何か付加したいものがあれば加える。自ずと大胆な構図となり、不器用な筆のタッチで鮮やかな絵の具を置いていく。おそらく透視図法を知らないと思うのでプリミティブなものに映る。

一見稚拙そうに見えるそのキャンバスには本質が捉えられているのだ。描いている対象が祭りなら、祭りの華やかな空気感。人物なら仕草や表情が単純な線と色で表現されている。

本質を捉えるという意味は写真やデザインの業界でいうシズル感が表現されているということである。“らしさ”といったほうが判りやすいかもしれない。例えばファミレスのメニューでジューシーなハンバーグの食をそそる写真のような表現だ。“らしさ”を捉える能力、それを絵心と云う。私がその絵に惹かれる理由はそのためだ。

知覚というのは動物の種によって違うと聞く。犬は人間の1億倍の嗅覚があって発情期のメスがいると数キロ先の匂いを嗅ぎ分けるという。鳥は4つの錐体細胞をもっており4つ目の錐体細胞がスペクトルの紫外線領域の感知しているという。

20年も前の映画でブルース・ウィリスが主演、「フォレスト・ガンプ」や「AI」などに出演した天才子役と言われたハーレイ・ジョエル・オスメントが共演した「シックス・センス」をご存知だろうか? 観てない人にはネタバレがするので詳細な話は語らないが「シックス・センス」、つまり五感の次に来る6番目の知覚の話なのである。その映画では地縛霊を観ることができ会話をする能力なのである。

よく女性の直感は、男性の嘘を見抜くというが、その鋭さには脱帽せざるおえない。動物の種のみならず人にはそれぞれ、長けた感性があるのである。謙次くんは霊が見えるわけではないと思うが凡人にはない6番目の知覚を持っているのではないだろうか。凡人の私にとっては霊を見る能力でも、本質を見極める感度と表現力を持っている能力を所有している人が、とても羨ましい。それは絵描きとして素晴らしい資質を持っている証拠であるからである。そこで謙次くんの作品をもっと観ていきたいと思い「宮林謙次の世界」と題しこのウェブサイトを開設したのである。謙次くんは36歳、画家としてはまだまだ序の口であり、彼がこれから観ていくものを通して私も世界をもっと識りたいのである。(2020年9月吉日)

LAPIS GALLERY. Kenichi Harada

PROFILE

1983
  • 富山県高岡市生まれ。目黒育ち。

  • Born in Takaoka City, Toyama, Japan. Raised in Meguro.
2003
  • 東京都立玉川高校卒業。
  • 東京芸大油画科出身の画家瀬川智貴氏にデッサン、パステル、油絵の基礎を学び、現在に至る
2004
  • 七宝焼を佐野登志子氏に学ぶ
2012
  • 宮林謙次展<油彩>ーけんじの世界「無色透明」ー[中目黒GTギャラリー]
  • 初めての個展以後、中目黒GTの支援を受け毎年個展開催。中目黒GT内で作品を常設展示

Exhibition - Kenji World : Colorless and Transparent - at Nakameguro GT Gallery

2013
  • 宮林謙次展<油彩>ーけんじの世界「人とまち」ー[中目黒GTギャラリー]
  • スペインでのアートイベント「KOREKARA JAPON」に参加し「鶴の帯の婦人」油絵f12を買い上げられる

Exhibition - Kenji World : People and Town - at Nakameguro GT Gallery

2014
  • 宮林謙次展<油彩>ーけんじの世界「日本・スペイン・フランスの春」ー[中目黒GTギャラリー]
  • はとバス本社に[「東京駅」F20を買い上げられる

Exhibition - Kenji World : Spring in Japan, Spain and France - at Nakameguro GT Gallery

2015
  • 宮林謙次展<油彩>ーけんじの世界「寺と祭と日本海」ー[中目黒GTギャラリー]
  • 世界絵画大賞展に入選

Exhibition - Kenji World : Temples, Festivals and Sea of Japan - at Nakameguro GT Gallery

2016
  • 宮林謙次展<油彩>ーけんじの世界「にぎやかなテーブル」ー[中目黒GTギャラリー]
  • 目黒の絵葉書8枚制作依頼される
2017
  • 宮林謙次展<油彩>ーけんじの世界「宇宙から人とまち」ー[中目黒GTギャラリー]
  • 日本の自然を描く展入選
  • 世界絵画大賞展2017に入選

Exhibition - Kenji World : from Universe, People and Town - at Nakameguro GT Gallery

2018
  • 宮林謙次展<油彩>ーけんじの世界「イマジン 耳をすませて」ー[中目黒GTギャラリー]
  • 日本の自然を描く展入選
  • 区展、目黒ユネスコ展に作品発表
  • 世界絵画大賞展2018に入選

Exhibition - Kenji World : Imagine and Listen - at Nakameguro GT Gallery

2019
  • 宮林謙次展<油彩>ーけんじの世界「五箇山から善光寺、九品仏の一日」ー[中目黒GTギャラリー]
  • 日本の自然を描く展入選
  • 長野善光寺常智院「大黒様」油絵F15、「前立本尊」油絵F20、七宝作品「ユリ」、「桜とつぼ」買い上げられる。

Exhibition - Kenji World : Goka-Mountain, Zenko-temple, Kuhonbutsu - at Nakameguro GT Gallery

2020
  • 宮林謙次展<油彩>ーけんじの世界「わき上がる景色 海から宇宙へ」ー[中目黒GTギャラリー]
  • 世界絵画大賞展2020(東京都美術館)で「善光寺仁王門」F30が優秀賞を受賞

Exhibition - Kenji World : from Sea to Universe - at Nakameguro GT Gallery

2023
  • 宮林謙次展<油彩>ーけんじの世界「四季の楽しみ -ENJOY SEASONS-」ー[中目黒GTギャラリー]
  • 世界絵画大賞展で協賛社受賞
  • 個展 ギャラリートバリエ(2023/11/24〜11/24)
  • 目黒ユネスコ美術展 出品
  • IDEMITSU ART AWARD 入選「船出」F100

Exhibition - Kenji World : ENJOY SEASONS - at Nakameguro GT Gallery

2024
  • 宮林謙次展<油彩>ーけんじの世界「時空をこえて - part 1」
    [中目黒GTギャラリー](5/8〜5/16)

CONTACT